こんにちは、rinnshannです。
COVID-19関連の記事3本目ということで、今日の記事は超過死亡に関する内容です。
超過死亡に関しては、昨年から噂が聞こえていました。そこで、約10か月前に、2021年1月~6月の日本国内の超過死亡者数が約3万8千人となった件について、記事を書いています。
2021年1月~6月の日本国内の超過死亡者数:約3万8千人について
この時点では、2020年は消毒の徹底など、生活様式が大きく変化したことで、死亡者数が大きく減少して、2021年はその反動で増えたのではないかという私なりの結論を示しています。(データとしても問題のないレベルと判断できました。)
参議院選挙「参政党」神谷氏の主張に関して
さて、先日の参議院選挙にて、「参政党」の神谷氏が超過死亡ついて、言及されていたということで、前回の記事から10ヶ月経ったこともあり、改めて統計的に検討してみることにしました。
データは全て厚生労働省の人口動態統計の月報(速報値)を利用しています。
当たり前の話ですが、統計データが正しいという前提でここでは検討することとします。そもそも、超過死亡が増えたという議論は、この統計データから論じられていることなので、統計データが間違えているという話は成立しません。
また、ここでの超過死亡の定義としては、「前年比で何人死亡者が増えたか」ということとします。
出生数の減少
超過死亡もさることながら、出生数がここ数年で大幅に減っているということで、まずはそちらも確認してみることにしました。短期間で見ても意味がないので、数年という単位ではなく、長めに2008年からのデータを確認してみることにしましょう。
表1 単月ごとの出生数の推移(2008年~2022年5月まで)
一見して、確かに2022年3月~5月については、5,000人前後~7,000人という出生数の減少が確認できました。ただ、1月は約4,000人増ですし、2月はほぼ変化なしとなっています。2008年は、各月9万人程度の出生数であったのが、ここ数年では7万人程度まで下がっているということで、少子化が進んでいることがわかります。
1つ1つ数字を見ていくのは、意味がないことも多いのでこれくらいにして、もう少し視覚的に理解しやすい形にしてみましょう。
表2 単月ごとの出生数前年比の推移(2009年~2022年5月まで)
表2では、表1から前年比で計算したものとなっています。1であれば、前年と同じ数となり、1を下回って入れば、前年よりも少なく、1を超えていると前年よりも多いということとなります。また、1を下回った部分については、赤文字としています。
表2より、わかることとして、そもそもここ10年以上、少子化が進んでいるということがわかります。2009年から2021年まで前年比で出生数が増えたのは、2010年と2015年だけで、しかも0.1%というわずかな増加です。
増えた減ったという議論は、大前提ここまでは頭に入れておかないといけないということになります。
さて、こうしてみると、確かに2022年3月から5月は前年比で大きく減っていることがわかります。特に4月は前年からの減少率が10%以上となっています。ですが、2022年全体ではマイナス4%となっています。(2022年は5か月分のデータしかありませんが…。)
4%も減ったと思うか、4%しか減っていないと思うかは人それぞれだと思います。ただ、COVID-19が流行する2019年には、前年比マイナス5.5%ということで、2022年よりも大きな幅で減少しているということがわかります。
短期で見ると、ここ数年で〇万人も減っているといったように、煽ってしまう内容も散見されますが、中長期での減少トレンドに入っているということで、これが増加に変わることということは、今の状況では中々考えにくいです。
何か別の要因があるといったような陰謀論的な内容も見られますが、データを見る限りはおかしい点はないように感じます。
今後の出生数の予測
FORECAST関数を使えば、今後の予想まで簡単にできますね。
ということで早速やってみました。2008年~2021年までのデータを入力して、信頼区間99%で計算しています。
表3 今後の出生数の予測
図1 出生数の予測(2022年~2025年)
ということで、数年で増えることはなさそうなので、信頼区間の下側で推移していくと考えられます。ちなみに、2022年が5月までのペースで12月まで推移していくと仮定すると、2022年全体の出生数が約80万9000人となりました。2022年の信頼区間の下限が約78万5000人なので、現時点では予測範囲内ということになりました。(ということで、2019年に90万人を下回ってから、3年で今度は80万人を下回る可能性があるということになります。少子化のペースが凄いですね。)
出生数の減少については、想定の範囲内ということで、続いて死亡者数についてデータを見ていきたいと思います。
超過死亡の分析
さて、ここから同じように死亡者数についても同様に見てみましょう。
表4 単月ごとの死亡者数の推移(2009年~2022年5月まで)
一見すると、2022年2月と3月の超過死亡者数の増加が目立ちますね。確かに、ここに注目した内容が多いのは分かります。
とりあえず、それは置いておいて、出生数と同じように前年比で見てみましょう。
表5 単月ごとの死亡者数前年比の推移(2009年~2022年5月まで)
同じように、1であれば、前年と同じ数となり、1を下回って入れば、前年よりも少なく、1を超えていると前年よりも多いということとなります。出生数とは逆に、1を上回った部分については、赤文字としています。
表5より、わかることとして、そもそもここ10年以上、高齢化が進んでいることもあって、死亡者数が増えているということがわかります。2009年から2021年まで前年比で死亡者数が減ったのは、2009年と2020年だけで、しかも1%以内というわずかな現象です。
10ヶ月前の記事でも結論としたことになりますが、2020年の死亡者数が減ったのは、COVID-19によって生活環境が変わったことで、死亡数を減らすことができたと考えています。そもそも、他とは前提条件が異なるので、前年比という単純な比較ができないものだと考えられます。(2020年は0.7%の減少ということで、少なく感じるかもしれませんが、毎年1~2%増えていくと考えると2%~3%の減少に寄与したとも想定できます。)
出生数と同じように、死亡者数が増えていくトレンドに入っているということで、死亡者数についても大前提ここまでは頭に入れておかないといけないということになります。
2022年は、5か月分のデータとなりますが、現在のところ前年比プラス7.3%というペースで、死亡者数が増加している状況です。(2月と3月に大幅に増えたということで、そちらに大きく引っ張られているということはあります。)
7%の増加というと大きく感じるかもしれません。ただ、2010年や11年、21年は、前年比5%近くの増加となっています。陰謀論的に、ワクチンの話を持ち出す方もいますが、4月、5月は数字上は落ち着いているように見えますし、そう結論付けるには早すぎるかなと。もう少し長期のデータを見ないと判断できないという結論になるのが、普通かなと感じるわけです。
今後の死亡者数の予測
死亡者数についても同様に予測計算をしてみましょう。出生数と条件は同じです。
表6 今後の死亡者数の予測
図2 今後の死亡者数の予測(2022年~2025年)
死亡者数もここから下がるとは難しいと考えられるため、予測範囲の上側に入っていくことが考えられます。2022年が5月までのペースで12月まで推移していくと仮定すると、2022年全体の死亡者数が約155万8000人となりました。2022年の信頼区間の下限が約152万5000人なので、現時点では予測範囲を若干超えるということになりました。
ただ、2022年全体が2月と3月にの2か月に引っ張られているデータになってしまっているため、判断が難しいということになります。このペースが続いていくと、確かに想定よりも増えているということになりますが、1月、4月、5月のように数字が落ち着くと、予測範囲内に戻ることも想定できるわけです。
まとめ
ここまで、出生数と死亡者数について、統計データを見てきました。いずれにしても、結論を出すまでに時間がかかる結果となりました。このように、データを分析するためには、絶対的に時間がかかるのです。私も様々な内容のコンテンツを目にしますが、そう結論を出すのは早すぎではないか、それは言い過ぎではないか、といったような内容を目にすることもありました。
データは、客観的に判断するためのツールとなり得るものと同時に、切りとり方次第で、全く逆の結論を出すことが可能ともなるので、データの見方には本当に注意していただきたいと思います。
以上です、引き続きよろしくお願いいたします。


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