こんにちは、rinnshannです。
※本記事は、複雑な思いを抱えたままの4連休、そして、私とタロウの最期の60時間の続き①となります。
第三章:気が付くと…。
少しバタバタという物音で、気がついて時計を確認すると十八時を回っていた。三時間ほどウトウトと眠ってしまったようだ。実家に帰ってきていたんだと、タロウを見ると手足をバタバタと動かしているのが見えて飛び起きる。次の下痢だなということで、できる限り体が汚れないように体を起こして体勢を整える。一向に良くなる傾向はみられない。体を起こしてもその状態を自分で支えられないような状況になっている。覚悟をしないといけないという思いが強まってきた。あと数日も持つだろうか。脱水にならないように水を持っていくと、ペロペロとする舌を出す。数mL程度飲むともう舌も出さなくなった。でも、固形物は食べない。食べてくれさえすればまだ…。
寝室で寝ていた母も起きてきて、めまいが随分良くなったということで、買い物に出かけていった。私は引き続きタロウのそばで、様子を観察する。実家に帰ってきてから数時間だが、そのわずかな時間の間でも、目に見えてタロウの状況は悪くなっているようにも感じた。
第四章:二日目
数時間おきに下痢が出てくるのを対応しながら、夜が明けて二日目となった。何をするにしても、何となく手につかなくて、若干の睡眠不足を感じながらウトウトして一日が終わった。
その晩、ウトウトしているとタロウが少し鳴いているのが聞こえた気がした。また下痢かなと思って飛び起きて体勢を整えても特に何もないようで、あれ?いつもならここで下痢するんだけどなあ。と思いながら体勢を寝ている状態に戻す。ふと顔を見ると、目が濡れていてそのまま頬に流れて、涙を流しているように見え、鼻水も出ているようだ。これは普通じゃないなと思い、母を起こす。
私「タロウが泣いてるみたいや。」
母「なんやて。ホントや、何か泣いてるように見えるな。」
改めて目をよく見ると、開いているが意識はほとんどなさそうだ。痛みがあって涙を流しているのか、生理現象なのかもわからない。母も私も口には出さないが、タロウの状況が日に日に状況が悪くなっており、もう数日持つかどうかもわからないということを少なからず感じているようだった。相変わらず、水分は少しだけ摂れるが、固形物に対しては口を開けようともしない。水分は吸収されずにすぐに出ていってしまっている状況。母がタロウに声をかける。
母「タロウ、もうすぐ弟もくるからもうちょっとの辛抱やで。」
ますます、状況は悪くなっていく…。
第五章:三日目
三日目。次の日の午前中の新幹線を予約していたので、今日がタロウと過ごす最後の日である。今日は、タロウが日頃からお世話になっている動物病院に母と連れていった。先生から処置をしてもらい、その途中にも下痢が続く。今から思うと先生は、タロウの寿命が尽きかけてきていることは分かっていたのだろうと思うが、私たちには知らせないようにしていたのだろう。体温は三十七度五分、若干下がってきたか。点滴をしてもらった。
点滴が終わり、帰宅する。
数時間おきの下痢も続き、しまいには下痢をする前兆で手足をバタバタさせていたのもなくなってしまった。体について気持ち悪いのか、漏れてしまった後に少しだけ声を上げるのが何とも言えない気持ちになる。思い出すのは元気だったころのタロウの姿。
第六章:最期の時
その晩、二十三時五十分頃、少し激しめの痙攣が始まった。ゼーゼーと段々と呼吸が荒くなったいくのがわかる。母を起こして、タロウに声をかけながら様子を見守る。一時間ほどかけて、徐々に痙攣が大きくなり、呼吸が段々と荒くなっていく。すると一度、大きく体が動いたかと思ったら、痙攣が収まった。一時的に容態が落ち着いたようだ。今晩が山場かもう朝まで持たないかもしれない。意識があるのかもうわからないが本当に苦しそうにしていて、どうなっているのかもわからない。
十分ほどそのまま様子を見ていると、再度痙攣と呼吸が荒れてきた。今度は十五分ほどして体が動いてまた落ち着いた。それから十五分ほどたっても、状態が落ち着いているようなので母は寝室に戻った。私もウトウトしてきたので、二時過ぎに仮眠に入った。
時刻は二時三十分過ぎ。タロウが三度大きな声で鳴いて、私も母も飛び起きた。これはただ事じゃないと思い、様子を見るとまた激しい痙攣と呼吸困難になっている。5分ほど痙攣で体を大きく動かして最期に一つ鳴き声を上げた。そして身体が動かなくなってしまった…。口元に手を当てると呼吸も止まっているのがわかった。タロウは旅立ったのだ。
私が帰省してから、ちょうど六十時間後のことだった。たった六十時間でここまで急激に進むものなのか。「死」というものにこれまでちゃんと触れ合うことがなかった私にとって、初めての動物の「死」というのは少しだけ飲み込むまでに時間がかかるのかもしれない。
第七章:夜が明けて
目が覚めると午前八時過ぎ。母も起きている。タロウの身体は、死後硬直が始まっており、身体を触ると冷たくなっていた。口元に手を当てても呼吸はしていない。昨晩のことは夢ではなかったようだ。
母「タロウが『私』を呼んでくれたのかもしれんね。」
私「まあ、確かに。月曜に電話なかったら、帰省することはなかった。タロウの最期に立ち会うこともできなかったと思う。」
母「『私』が来るまでめまいがひどかったし、身体もほとんど動かなかったけど、来てからはめまいもそんなにしなくなったし、動けるようにもなった。タロウのことは、『弟』が午後到着してからやるよ。」
私「弟は結局間に合わんかったか。まあ、終わったらゆっくり休んでくれ。」
ここ十年近く、タロウとあまり会っていなかった私でさえ辛い気持ちがあるが、その間もずっと世話をしてきた母にとってはその辛さは計り知れない。それでも、現実は受け止めなければならない。
「タロウ、お疲れ様。ここに来てくれてありがとう。」ともう二度と動くことはないタロウに声をかけて、新幹線の時間が近づく中、準備をして家を出発した。
第八章:複雑な思いを抱えたままの4連休
新幹線に乗って東京に戻ってきたが、道中のことはあまり覚えていない。睡眠不足だったこともあるかもしれないが、それだけ心に傷ができたのかもしれない。新幹線に揺られている間、眠くなるかもしれないと思ったが、覚醒していたようで夢の世界に入ることはなかった。外には出さないようにしていたが、自分の内側にはそれなりにショックがあったのだろう。帰宅してからは、すぐ疲れが出たようでいつの間にか眠ってしまったようだ。
タロウの死という実感はあまりないのだが、こうして文字に起こしたことでいろいろと整理ができて次の一歩に進めるのかもしれない。ここで立ち止まってはいけない。それでも、複雑な思いを抱えたままの4連休はもうすぐ終わる。
「ありがとう、タロウ。ゆっくり休めよ。お疲れ様。」
連休を含んで一週間以上休んでしまったけど、いつまでも引きずるわけにはいかないので、しっかりと切り替えて明日から仕事行ってくるよ。
今日、明日、明後日、…と普段の日常は止まることなく、また始まっていくのだ…。梅雨明けした晴天と暑さを持った日差しは変わらず昨日も今日もそして明日も変わらず降り注いでいるはずだ。
以上です、引き続きよろしくお願いいたします。


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